地主さんが土地を人に貸すときの注意点

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相続コンサルタント会社 ニーズ・プラスコラム担当の野呂です。

所有している土地をしばらく使わない場合、人に貸すことで、地主さんは月々の地代などの現金収入を得られます。ただし、土地を貸すときには、いくつか注意しなければならないことがあります。

今回は、地主さんが土地を貸すときの注意点について、ご説明いたします。

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地主さんが土地を人に貸すときの注意点

適正な賃料(地代)に設定する

基本的に地代は、地主さんと借地人さんとの話し合いで決まりますが、底地周辺の取引実績や相場などを根拠にして算出するもので、言い値で決定するのは危険です。借地人さんの希望する地代が適正価格であれば問題ありませんが、もしそれが相場よりも低ければ、地主さんが損したり、将来的に収入が支出を下回ったりするおそれがあるからです。

地代を決める際は、事前に底地周辺の取引実績や相場を把握しておきましょう。その際、弁護士などの第三者に仲介を依頼すれば、トラブルが防げるでしょう。

契約書を交わして締結する

借地契約の締結は、原則として口約束でも成立します。その場合でも、法的には契約書と同じ効力を持ちます。

ただし、一般定期借地権など、借地契約の内容によっては書面(契約書)で締結することが、借地借家法で定められています(22条~24条)。また将来、契約当事者の間でトラブルが生じたとき、裁判所に契約合意の証拠として契約書を提出すれば、トラブルを解決しやすくなります。

将来、地主さんと借地人さんとの間でトラブルが起きて揉めないためにも、きっちり契約書を作成して締結することが大切です。

契約書を作成するためには、地主さんと借地人さんとの間で細かく取り決めをする必要があるので、以下にその一部をご紹介します。

1.誰が土地を借りるのか

2.借地の範囲

借地の範囲を文章にして、契約書に盛り込むことは専門家でも困難です。契約の締結までに測量が終わっていなければ、紙に簡単な略図を書いたものでも構いません。

3.借地を使用する目的

借地に建物を建てるのであれば、木造なのか、鉄筋なのか、何階建てなのか、自己所有なのか、賃貸用なのかなどを細かく記載します。

4.地代の額、支払期日、支払い方法、権利金の授受

権利金(けんりきん)とは、賃貸借契約が結ばれるときに、場所的な利益の対価、または賃料の一部前払いとして借地人さんから地主さんに支払われる金銭のことです。借地契約や営業用の建物の賃貸借で支払われることが多いものです。

5.許可なく建て替えなどした場合の特約

契約にあたって、「借地上の建物を増改築するときは、地主さんの承諾を得ること」という特約を定めておくと、借地人さんが無断で増改築したときに、契約書の内容に違反したとして契約解除を言い渡せます。

6.借地の返還方法

借地人さんが借地を地主さんに返還する際、更地にして返すのか、建物ごと買い取ってもらうのかの方法を明記します。

7.更新の有無

通常の借地契約では、更新の有無が契約書に記載されていなければ、自動的に更新が認められる普通借地契約として扱われます。

建物を建てる目的で土地を貸すときは、必ず一般定期借地権にしましょう。また、更新の際に適正な更新料を支払ってもらうかどうかを明確にしておきましょう。

参考記事:地代・更新料・各種承諾料の相場について
参考記事:借地権とは?

土地賃貸借契約書と公正証書の違いについて

土地賃貸借契約書は、地主さんと借地人さんが個人で作成するか、不動産業者に依頼して作成します。仮に、地主さんと借地人さんのどちらかに土地賃貸借契約書の内容に対する違反が認められた場合、地主さん貸主が裁判を起こし、それに対して裁判所は判決を下します。

一方の公正証書は、公証人(元裁判官や元弁護士など)が、当事者の申立に基づいて作成する文書で、通常の賃貸借契約書よりも強い法的な効力があります。

公正証書には、地主さんと借地人さんのどちらかが証書の内容に違反した場合、裁判所が強制執行する「強制執行認諾約款(きょうせいしっこうにんだくやっかん)という文言を必ず入れておくことをおすすめします。この文言がないと、再度裁判所による判決が必要になるので、注意しましょう。

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借地人さんと密にコミュニケーションを図りましょう

人間というものは、相手との間に心理的・物理的な距離があると、考えをなかなか言葉に出して伝えにくいものです。

昔の地主さんと借地人さんの関係はもっと密接で、地代の授受は面と向かっておこない、顔を合わせたら挨拶をするなど、上手にお付き合いができていたものです。

しかし、地代が銀行振込になった現代では、地主さんも借地人さんも、お互いに顔を知らないことが多くなりました。また、相続などで、借地から遠く離れたところに住む地主さんや借地人さんも増えてきました。

地主さんと借地人さん、双方で密にコミュニケーションを取ることで、何らかの問題が発生しても、スピーディーな解決が図れることがあります。
より良い関係を継続するために、お付き合いの方法を再考してみてはいかがでしょうか。

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