地代収入と土地売却時の税金・経費について

地代収入
相続コンサルタント会社 ニーズ・プラスコラム担当の野呂です。

地主さんは底地や更地など、土地を所有していることで、さまざまな収入を得ていることでしょう。一方で、土地所有者として果たすべき義務があることも、忘れてはいけません。そのうちの一つが「納税」です。

土地の税金には、所有している間にかかる固定資産税や都市計画税、土地の売却時にかかる所得税、住民税などさまざまな種類があります。

今回は、「地代収入」と「土地売却」の税金・経費について解説いたします。

借地人さんが地主さんに支払ったお金はどこへ行くのか

借地人さんが地主さんに支払った地代や更新料、承諾料などは、地主さんの収入になります。しかし、それら全てがそっくり地主さんのものになるわけではありません。借地人さんから得た収入のおよそ70%〜80%が「支出」になります。

その内訳は、以下のとおりです。

  1. 固定資産税、都市計画税(土地)
  2. 所得税(地代、更新料、承諾料などの収入)
  3. 相続税(収入による現預金、土地)※30年に一度と仮定し、割り戻し
  4. 翌年度の健康保険料や住民税

これらを全て支払った後に手元に残ったお金が、地主さんの収入となるのです。

土地賃貸借と土地売却時の税金・経費で計上できる所得

土地賃貸借と売却時にかかる必要経費の品目は、建物の賃貸借や売却時と比較すると、それほど多くありません。建物の場合、減価償却費や修繕費などの経費がかかりますが、土地の場合はそういった費用を支払う必要がないためです。

土地賃貸借と売却時の必要経費は、次のようになっています。

土地賃貸借にかかる経費例

  • 租税公課(固定資産税・都市計画税)
  • 税理士や行政書士への報酬
  • その他土地賃貸借にかかった雑費など

土地売却にかかる経費例

  • 印紙代
  • 仲介手数料
  • ローンがある場合は繰り上げ完済手数料
  • 抵当権抹消にかかる登録免許税
  • 報酬売却益があった場合は所得税
  • 測量費(測量士に対する交通費も含む)
  • 借地を更地にして売却した場合は建物取り壊し費用
  • 税理士や行政書士への報酬

不動産所得と譲渡所得

土地の賃貸借において、借地人さんから得られる収入を「不動産所得」といいます。借地契約を新たに結んだ場合に借地人さんから支払われる権利金や、不動産を売却したときに買主から支払われる頭金も、不動産所得に該当します。この他、借地契約を更新または譲渡したときに、借地人さんから支払われる更新料や借地権譲渡承諾料(名義書換料)が、土地の価額の50%以下の場合も不動産所得に該当します。

一方、土地や建物を売ったときに得られる収入を、「譲渡所得」といいます。譲渡所得は、売却価額から取得費と譲渡費用を引いて求めます。

土地賃貸借の場合、不動産所得と譲渡所得には、それぞれ以下の課税基準が存在します。確定申告の際は、下記の基準をご参照ください(所得税法施行令第79条など)。

権利金その額が土地の価額の50%以下:不動産所得
その額が土地の価額の50%超過:譲渡所得
地代不動産所得
更新料・承諾料その額が土地の価額の50%以下:不動産所得
その額が土地の価額の50%超過:譲渡所得

参考記事:不動産所得の確定申告における注意点とは
参考記事:土地売却で発生する税金の話

税金が安くなるケースも

借地人さんが地主さんに支払う権利金(土地の時価の2分の1以下である場合)や各種承諾料、更新料などの臨時収入については、臨時所得の平均課税(※)という制度によって、税額が軽減される場合があります。

また、地主さん・借地人さんで会社勤務をされている方の場合、青色申告で不動産所得を申告すると、10万円の控除が受けられます。

なお、上記に挙げた各控除には、それぞれ細かな条件があるので、控除を受けたい方は、国税庁のホームページをご参照ください。

※臨時所得の平均課税(りんじしょとくのへいきんかぜい):一定の臨時収入がある場合などに認められる、税負担を軽減するための課税方法。

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