申告すれば税金が控除されるかも!意外と知らない確定申告
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毎年訪れる確定申告。曜日周りで多少前後しますが、基本的に2月16日〜3月15日の期間に申告します。
会社勤めだと、会社で年末調整をするだけなので、自分で確定申告をしたことがない方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、「大雪で自宅の屋根が壊れた」「住宅を購入した」など、場合によっては申告をすることで税金を減らせる場合があります。相続によって不動産経営を引き継いだ方は、サラリーマンであっても家賃収入があるなら申告をしなければなりません。
また一生にそう何度もないので忘れがちなのが相続時精算課税制度の利用時の申告です。
これを忘れたまま申告期限を過ぎてしまうと、せっかく適用した特例がただの贈与として処理され、多額の税金を払うことになってしまいます。
今回は見逃しがちな確定申告の項目についてご説明します。
目次
マイホームを建てた、増改築をしたなら申告を
「マイホームを建てた」「リフォームした」「住宅ローンを組んだ」際には、適用できる控除がないか、確認してみましょう。以下に当てはまるものなら税金が控除されます。自ら申告しなければ控除は受けられないのでご注意ください。
住宅耐震改修特別控除
昭和56年5月31日以前に建築された住宅に耐震改修工事を施した場合、一定の金額をその年分の所得税額から控除するものです。
この特別控除と住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)のいずれの適用条件も満たしている場合、その両方について適用を受けられます。しかし、以下でご説明する住宅特定改修特別税額控除の条件も満たしていたとしても、どちらか一方しか適用できません。
【参考リンク】
No.1222 耐震改修工事をした場合(住宅耐震改修特別控除)/ 国税庁HPより
なぜこのような控除ができたの?
昭和56年5月1日以前の建築基準に基づく耐震基準が、実際の震災に耐えうるものではありませんでした。そのため、その頃に建てられた建物は、将来の地震で大きな被害が出る可能性が高いので、耐震工事がなされるように税金の控除をしているのです。
住宅特定改修特別税額控除
住宅特定改修特別税額控除は、耐久性向上改修工事と「バリアフリー改修工事」「省エネ改修工事」「耐震工事」を組み合わせて行った場合に適用できます。工事費用が50万円をこえていることが条件です。また工事後に、長期優良住宅と認めらなければなりません。
長期優良住宅とは
日本の住宅は欧米に比べ「20年経つとゼロ評価」と言われるように耐用年数があまりにも短いことが問題となっています。そのため、国は長期に耐えられる住宅の建設を推奨しています。
平成21年度に長期優良住宅の普及の促進に関する法律が施行されました。それにより「高い性能を備えた住宅」「長く住み続けられる住宅」「環境にやさしい住宅」は長期優良住宅として認定され、特別な控除が受けられるようになりました。
長期優良住宅は、以下でご説明する住宅ローンの控除も優遇されます。長期で使える住宅にするには費用がかかりますが、控除があることも頭に入れておきましょう。
耐久性向上改修工事と他の改修工事を組み合わせる
国税庁ホームページによると、耐久性向上改修工事とは「小屋裏、外壁、浴室、脱衣室、土台、軸組等、床下、基礎若しくは地盤に関する劣化対策工事又は給排水管若しくは給湯管に関する維持管理若しくは更新を容易にするための工事で、認定を受けた長期優良住宅建築等計画に基づくものであること」とあります。
この工事を行った結果、長期優良住宅として認められる住宅となることが求められます。「長期優良住宅として認められる住宅」にするのは容易なことではありません。少々の修繕をした程度では認定されないので、施工業者にしっかりと確認しましょう。
耐震工事と耐久性向上改修工事を一緒に
昭和56年5月31日以前の住宅であれば、その耐震工事と、耐久性向上改修工事を一緒に行うことで、耐久性向上改修工事の分の控除も受けられます。
住宅特定改修特別税額控除は、他の改修工事と一緒に行わないと控除が受けられないので、注意しましょう。
詳しくは以下の国税庁のホームページでご確認ください。
【参考リンク】
No.1227 耐久性向上改修工事をした場合(住宅特定改修特別税額控除)/ 国税庁HPより
バリアフリー改修工事
バリアフリー改修工事とは、「浴室を改良」「部屋全体の段差をなくす」「廊下を広げる」「階段に手すりをつける」など、高齢者が暮らしやすくするための改修工事のことです。
【参考リンク】
No.1220 バリアフリー改修工事をした場合(住宅特定改修特別税額控除)/ 国税庁HPより
省エネ改修工事
省エネ改修工事とは、「すべての部屋の窓を改修する」「床の断熱材を省エネ性能の高いものに交換する」「太陽光発電機器の取り付けをする」など、省エネにつながる工事のことです。
どんな工事でもいいわけではなく、工事後、平成28年省エネ基準相当に適合するものになる必要があります。
【参考リンク】
No.1219 省エネ改修工事をした場合(住宅特定改修特別税額控除)/ 国税庁HPより
なお、耐久性向上改修工事と一緒にバリアフリー工事、省エネ工事をした場合、そのすべてが控除対象になるので、いずれする予定なら一緒にしてしまうといいかもしれません。
特定増改築等住宅借入金等特別控除
この特別控除は、バリアフリー・省エネ・多世帯同居改修工事を含む増改築の借入金に適用されます。このようなリフォームを行った際に住宅ローンを利用していると使える控除です。
【参考リンク】
No.1226 特定増改築等住宅借入金等特別控除の対象となる住宅ローン等/ 国税庁HPより
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)
住宅ローン控除(住宅借入金特別控除)は、住宅ローンを利用し、マイホームを建てたり、中古物件を買ったり、増改築したりした際に使えます。要件に当てはまり、申告すれば、所得税額から一定額が控除されます。
住宅ローン控除は、その住宅に住んでいる人が納税者であれば使えます。持ち主の住民票がそこにない場合は適用できません。
【参考リンク】
No.1213 住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)
不動産経営をはじめたら確定申告を
サラリーマンでも、不動産経営により家賃収入を得るようになったら確定申告が必要です。相続によって不動産経営を引き継いだ場合などはあらたに申告することになるので、気を付けましょう。
家賃収入が少ないなら開業届は出さずに「雑所得」として申告すればいいのですが、収入が多いようなら開業届を出し、税の優遇を受けた方がいい場合もあります。賃貸で所得(利益)が生じていなければ申告自体必要ありません。
青色申告と白色申告 節税効果に違いが
開業届を出した個人事業主の確定申告には白色申告と青色申告があります。白色申告の方が作成が簡単ですが、青色申告の方が高い節税効果があります。少しでも利益があるのなら控除が受けられる青色申告をお勧めします。
忘れてはならないのが、「青色申告承認申請書」を提出すること。新規開業したなら業務開始から2か月以内、以前から業務を継続しているなら、その年の3月15日までに提出します。
相続により業務を継承した場合は、準確定申告の期限である4ヵ月以内に青色申告承認申請書を提出します。
青色申告のメリット
青色申告の一番のメリットは、最大65万円の所得税金額控除です。また赤字が出れば利益から差し引けます。赤字額が多い場合も翌年以降3年間に渡って差し引くことができるのです。
青色申告の税額控除が最大限生かせるのは、「マンション・アパートを10部屋以上所有している」など、ある程度事業規模が大きい場合です。
それほどの事業規模がなかったとしても、青色申告をすれば10万円の特別控除が受けられます。
自然災害や盗難により被害を受けたら雑損控除を
雑損控除は、災害、盗難、横領などにより被った被害を控除するものです。雑損控除が適用されるのは以下の5つの場合です。
- 震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害
- 火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害
- 害虫などの生物による異常な災害
- 盗難
- 横領
災害を具体的に説明すると「大雪で自宅の屋根が落ち、修理が必要になった」「台風で屋根瓦が飛んでしまった」「ボヤで部屋の一部が燃えてしまった」「床下浸水して基礎が痛んだ」「シロアリ被害に合い床が抜けた」「損壊した住宅を取り壊した」などが当てはまります。害虫被害で気を付けたいのが、駆除に伴うものにしか適用できないこと。「予防として殺虫剤を散布した」というものは対象ではありません。
上記の5つの被害にあったら、雑損控除が受けられます。損害を受けたときの時価や、その修繕にかかった費用から差引損失額を計算し、確定申告時に記入することで、控除されます。損害を受けた時点の時価であり、購入した時の価格ではないのでご注意ください。
この控除は、日常生活に必要な住宅や家財にのみ適用されるので、同じ盗難でも高額な宝石や骨董品は除外されます。また詐欺や恐喝にも適用がありません。
どれくらいの控除があるの?
以下のうち、額が大きい方が適用されます。
・差引損失額 - 総所得金額等 × 10%
・差引損失額のうち災害関連支出の金額 - 5万円
差引損失額は、
損害金額+災害等に関連したやむを得ない支出の金額-保険金などで補填される金額
で算出されます。
【参考リンク】
雑損控除とは/ 国税庁HPより
No.1110 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)/ 国税庁HPより
災害に遭ったら罹災証明書の発行申請をする
災害により自宅に住めないほどの被害に遭ったら、できるだけ早く罹災証明書の発行申請をしましょう。
固定資産税や国民健康保険料の減免や猶予、公営住宅への優先入居、公的書類の発行て終了免除など、さまざまな支援を受ける際に罹災証明書が必要になります。
罹災証明書の発行は自ら申請しなければなりません。発行の前に調査が入ることも考え、早い段階での申請をおすすめします。詳しくはお住まいの市区町村にお問い合わせください。
【参考リンク】
災害等にあったとき/ 国税庁HPより
相続時精算課税制度を利用したら必ず申告を
相続時精算課税制度は、この制度を利用した2500万円までの贈与が、その時点では納税が猶予され、相続発生時に相続税として払うことができるものです。贈与税より相続税の方が税率が低く設定されているので、税金の支払い額が少なくて済みます。
また相続税課税対象外なら、生前贈与にも関わらず無税になるので、ぜひ利用したい制度です。詳しくは、以下の記事でご確認ください。
【参考記事】
【相続時精算課税制度】手続きまでわかりやすく解説!お得で喜ばれる贈与を
【相続時精算課税】事例から学ぶ贈与テクニック!相続税がかかる人こそ実践を
相続財産の「前借り」ができる相続時精算課税制度 /【円満な相続を目指そう】相続開始前に知っておくべきことは?
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